第3回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【特別講演】
人工透析からみた医療におけるQuality of Life
萬代 隆
1,2
1QOL研究会
2国立循環器病センター
pp.12-14
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100067
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はじめに
現代の医療は,先端医療の進歩による長寿や延命などの単なる量的な評価にとどまらず,各疾患・各個人の医療の内容に関する質的な評価が重要になっている1,2).数値で評価される量的拡大・効率最優先の戦後日本の超近視眼的価値観に対する反省の兆しが医療分野のみならず,社会全般の価値観のなかにも認められつつあり,量から質への発想の転換,すなわちQuality of Life(以下,QOLと略す)として表現され,その理念は近年日本においても重要視されつつある.とりわけ,腎不全・人工透析の領域においては,単に疾患を治療する段階から,治療を受ける患者の生活面,精神面などの日常生活の質的な向上をいかにして実現するかが重要な課題となっている.すなわち,自然科学的な学問技術の進歩は非常に重要な要因であるが,他方いかに技術設備その他物質的要因が充足されたとしても,究極的には人間が人間として人間により癒されない限り,医療としては未完成である.「サイエンス」と「アート」,「先端医療」と「全人医療」その他多くの対比軸から21世紀におけるQOLの高い医療のあり方を真剣に検討する必要がある.
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