第25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 特別講演1
病いを得て生きるということ
皆藤 章
1
Akira Kaito
1
1奈良県立医科大学
1Nara Medical University
pp.37-40
発行日 2021年3月31日
Published Date 2021/3/31
- 販売していません
- 文献概要
まず始めに,「病気」「疾患」「病い」の区別について共有しておきたいと思います.疾患は糖尿病や結核といった病名を指すことばで,これに対し病いは,たとえば「腰が痛い」「お腹がキリキリする」といったような当人の体験を意味することばです.このふたつのことばを包括して病気と表現します.疾患は客観的なものですが,病いは主観的な体験です.ここでは病いを得て生きるひとの体験を考えていきたいと思います.
まず,ある少女の語りを紹介したいと思います.13歳で結核を患い16歳で夭折(ようせつ)した山川弥千枝というこの少女は,7歳ごろから短歌を詠み始めました.そのなかに,亡くなる少し前に創られた,結核という自分の病いを表現した作品があります.
Copyright © 2021, Japan Academy of Diabetes Education and Nursing. All rights reserved.