第24回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 教育講演5
療養支援におけるアドバンスケアプランニング(ACP)の展開
谷本 真理子
1
Mariko Tanimoto
1
1東京医療保健大学医療保健学部/医療保健学研究科
1Tokyo Health Care University
pp.61-64
発行日 2020年3月31日
Published Date 2020/3/31
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1.アドバンスケアプランニング(ACP)とは
一般社会において死は忌避される話題であり,当事者同士での死に関する話し合いには抵抗感があるのが普通であろう.しかし,実際に死が近いとき,多くの人は自分の意思を表明することができなくなる.医療技術が発展した社会では,生命の終わりが近づいた時に延命治療をどうするかを決めることが必要になるが,本人以外の家族や医療者が判断せざるをえない現状がある.アドバンスケアプランニング(以下,ACP)はそのような終末期医療の現実に対して,本人の意思を尊重した医療ケアが提供されることを目指す具体的な取り組みである.実際,ACPが適切に行われると,患者の心理精神的QOLが向上し,患者,家族,医療者の協力関係が強化され,より患者の意向が尊重されたケアが実践され,患者と家族の満足度が向上し,遺族の不安や抑うつが減少する,などが明らかにされている.
望む治療ケアについての話し合いは,重篤な状態になってしまったときでは意思決定が難しいので,もしもの時に備えて早期からACPを行うことが重要とされる.そして,その内容を家族や医療者と共有しておくこと,文書などに残しておくことが望ましい.また,将来の医療ケアに対する希望内容,個人の価値観や人生のゴールについては,一度話し合ったとしても,その内容は時間や状況によって変化しうる.そのため,ACPでは繰り返し何度も話し合いを行うというプロセスが大切になる.
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