第2回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●特別講演
看護における患者教育の意義と専門性―専門看護師・認定看護師への道
岡谷 恵子
1
Keiko Okaya
1
1日本看護協会看護教育・研究センター
1Japan Nursing Association Nursing Education and Research Center
pp.20-26
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
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Ⅰ.看護における患者教育の意義
患者教育に対し,1人1人の看護者が努力をしてきていると思います.それは,糖尿病という病気だけではなく,肝臓疾患や心臓疾患など,さまざまな慢性疾患を煩っている患者に対し,療養指導,食事指導,生活指導あるいは患者指導といった,さまざまな呼び方で患者に対する教育が行われていると思います.看護婦は患者への教育は看護の機能として非常に重要であると認識して行っていますが,看護における患者教育に関する確固たる理論をもっているかというと,現状においては必ずしもそうではないと思います.
高齢化社会を迎え,疾病構造は変化しています.今,病気といえば,そのほとんどは決定的な治療法をもたない慢性疾患です.つまり,よいときと悪いときを繰り返しながら,患者が症状や生活を自己コントロールしなければならない状態であると思います.この場合,知識さえあれば病気や生活の自己管理ができるかというと,必ずしもそうではないと思います.知識も確かに必要ですが,自分自身の健康問題を明確にし,生活のなかで病気と上手に付き合い,自立した生活を継続していくためには,行動変容や価値観の変化を迫られることがあります.また,生活そのものが変わるとか,生活のなかにあった家族とのかかわりや社会的な役割,対人関係の基盤が揺らいだり変化したりするようなことも多くあります.そのような問題に直面したとき,医学モデルだけでは十分に対応できないはずです.
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