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学会の秋ですが,10月は台湾にてヘルスリテラシーに関する2つの国際学会が連続して開かれました.1つ目は10月6〜8日の国際ヘルスリテラシー学会(http://ahls-asia.org/announce.php?a_year=2014#btn).Asian Health Literacy Associationが中心になっている2回目の国際学会ですが,アジアだけでなくヨーロッパからもHLS-EU(European Health Literacy Survey)プロジェクトの中心メンバーが参加し非常に華やかな印象でした.IUHPE2013(国際ヘルスプロモーション健康教育会議,パタヤ)でも,ヘルスリテラシーに関する多くのシンポジウムやセッションが行われましたが,そこでの議論がきちんと継続されている印象です.国際的にヘルスリテラシーの現状を把握し,すべての人々のヘルスリテラシーを高めていくことをミッションに,先行しているHLS-EUをお手本に,Health Literacy Study-Asia(HLS-Asia)の調査も進行中とのこと.今回は“Health Literacy and Health Promotion”をテーマに,アジアにおけるヘルスリテラシー調査の現状,ヘルスリテラシーの尺度開発,ヘルスリテラシーに関連したヘルスプロモーションの実践,ヘルスリテラシーと政策,ヘルスリテラシーと食の安全など,様々なテーマについて基調講演や報告がなされました.
初日には,ヘルスリテラシーの概念図で有名なKristine Sorensen教授(Maastricht大)から“Promoting health literacy:Introducing the Asian health literacy glossary”と題し,アジア各国のヘルスリテラシー研究が不足している現状(それでも論文数では日本がトップでした)や,アジア諸国ではヘルスリテラシーが適切な母国語に訳されていないことが示され,今後さらなる研究が必要と話されました.また,ベトナム,台湾,パキスタン,カザフスタン,ミャンマー,インドネシアなどアジア諸国から,各国の現状が報告されました.各国の状況を聞くと,同じヘルスリテラシーをテーマにしていても,識字率が国民の半分に満たない国と日本の状況を同じ土俵で比較できるのか,難しさを感じることも事実です.
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