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レター
看護師の倫理的思考発達への提言:看護倫理教育における哲学の可能性
A proposal for the development of ethical thinking for nurses: The potential of a philosophy of education of nursing ethics
神徳 和子
1
,
池田 清子
2
Kazuko KOUTOKU
1
,
Sugako IKEDA
2
1学校法人香川学園宇部フロンティア大学
2神戸市看護大学
1Ube Frontier University
2Kobe City of College of Nursing
キーワード:
看護師
,
倫理的思考
,
哲学
,
教育
,
規範倫理学
,
nurses
,
ethical thinking
,
philosophy
,
education
,
standard ethics
Keyword:
看護師
,
倫理的思考
,
哲学
,
教育
,
規範倫理学
,
nurses
,
ethical thinking
,
philosophy
,
education
,
standard ethics
pp.80-83
発行日 2018年3月20日
Published Date 2018/3/20
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
1 .はじめに
ナイチンゲール誓詞は、看護師が初めに教授される職業規範である。ナイチンゲール誓詞を唱和し、臨床での実習に臨む看護学生も少なくないだろう。「われはここに集いたる人々の前に厳かに神に誓わん—わが生涯を清く過ごし、わが任務を忠実に尽くさんことを。」という一節で始まるナイチンゲール誓詞は、看護師の規範を的確に示し、私たち看護師が目指すべき道を照らしてくれる。
看護師への倫理教育はナイチンゲール誓詞を柱に現在に至っているのだろう。サラ・フライ(p. 47)1が提唱した、アドボカシー・責務・協力・ケアリングという概念や、「善行と無害、正義、自律、誠実、忠誠」という倫理原則(p. 29)1は、ナイチンゲール誓詞の意図するところにつながっている。このように看護師の倫理教育は、看護師としての自律を促進するところからはじまり、それが教育の中心的柱となっていることが伺える。さらに、看護師の自律を評価する尺度、道徳的感受性尺度(Moral Sensitivity Test、以下、MST)2, 3も開発され、看護師は常に看護師としての自分を意識しながら、看護という業務に携わることができている。
一方で、多くの看護師が臨床の現場で倫理的ジレンマに陥り苦悩している。また、多くの看護師が自分には倫理的知識が十分でないと感じている4。このような看護倫理教育と臨床現場との乖離は何故に起こってくるのか、これが本論の出発点である。
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