◆特集 若年認知症の作業療法
若年認知症の治療最前線
小山 恵子
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1東京医科歯科大学保健管理センター
pp.222-223
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
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- 文献概要
早期発見の意義
どんな疾患であっても早期発見が重要であることは論をまたない.認知症に関しては,一般に早期発見の意義として,①認知症の原因によっては,慢性硬膜下血腫,正常圧水頭症などのように早期に発見して治療すれば改善するものもある,②アルツハイマー病については,根治的な治療法ではないものの塩酸ドネペジルの服用により一定期間症状の進行を遅らせることができる,③本人の理解判断力が保たれている時期に診断できれば,今後の生活や財産管理などについて本人の意思を反映させ,自己決定権を尊重した対応が可能となる,④介護の面からも,早期に適切な介護サービスを利用することにつながり,経過を予測しながら余裕をもって対応することが可能になる,などがあげられる.社会の中でも家庭内においても,「現役」として中心的な役割を果たしている時期に発症する若年期の方にとっては,早期に適切な診断をうけることは,とりわけ重要な意味をもつといえる.しかし,年齢が若いだけになかなか認知症と結びつけられることがなく,生活上で何らかの変化がみられても「仕事のストレス」や「うつ状態」などとみなされてしまいがちである.若年認知症については,今後より一層の啓発活動が必要である.
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