◆特集 若年認知症の作業療法
若年認知症に対するリハビリテーションの基本と進行レベル・原疾患別にみた介入方法—若年認知症専門デイサービスでの取組みから
駒井 由起子
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1特定非営利活動法人いきいき福祉ネットワークセンター
pp.224-232
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
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はじめに
筆者が,若年認知症家族会「彩星の会」の当事者・家族の方々とお会いしてからはや6年が経過した1,2).現在,若年認知症は映画やテレビで取上げられるほどその認知度は向上しており,家族会員も約300名になっているが,当時筆者がボランティアとして月1回参加していた時には,家族と医師やソーシャルワーカーなど関係者がほんの数十名で,発病率は低いが直面している課題の大きいこの病気をとりまく問題に対して,長時間意見を交換しながら真摯に取組んでいた姿が思い出される.筆者は一人の市民としてまた作業療法士としてできることは何かを模索しながら,当事者および家族と啓発活動を行い,時にはその生活の苦悩に共感し,時には制度の不備に対して一緒に憤りながら地域生活を共にしてきた.特に家族会と並行して開催するミニデイサービスを立ち上げ,当事者の方々との時間を過ごすうちに見えてきたことは,社会の中に継続的に所属する場所のないこと,高齢者と異なる症状や行動に専門的に対応する必要があるのではないかということであった.
そして一昨年,この活動はついにボランティアの範疇を越え,新たな仕事として第一歩を踏み出すことになった.ここでは,筆者が開設した全国初の若年認知症および高次脳機能障害のためのデイサービス「いきいき学芸大学センター」での取組み事例から,若年認知症に対するリハビリテーションについて基本となる考え方と進行別・疾患別援助方法について考察する.
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