◆特集 作業療法士の養成教育—現状と問題点
大学教員の立場から
近藤 敏
1
1広島県立保健福祉大学作業療法学科
pp.21-24
発行日 2005年2月15日
Published Date 2005/2/15
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はじめに
現在,わが国の作業療法士養成課程の入学定員は6,275名であり,このうち文部科学省管轄の4年制課程は966名(15.4%)となっている.筆者の大学は県立で,1学部(保健福祉学部),5学科(看護,放射線,理学療法,作業療法,コミュニケーション障害の各学科)より構成されている.筆者は,専門学校の教員を長年経験した後,大学の教員となったが,学生は比較的ゆとりをもち,作業療法が到底及ぼない長い歴史をもつ成熟した学問に触れながら,多面的に思考し問題解決能力を育むことができるように思われる.卒業研究では,基礎系の教員の指導のもと基礎研究に関する発表もあり,臨床研究に限られていた専門学校では考えられないことであった.3年次は,4年間の中では最も時間的にゆとりがあるため,大学生活において個性を発揮できる1年間であり,この若い時の1年間の使い方のもつ意味は大きいと思っている.この時期に「福祉住環境コーディネーター1・2級」,あるいは「運動とプロセス技能の評価AMPS」認定評価者の資格を取得する学生も少なくない.学生の中には,大学を卒業できれば作業療法士にならずとも良いと思っている者がいるのではないかと思っていたが,これまでのところそういった学生は一人もなく,作業療法士を目指している点では専門学校と変わりはない.折しも大学は,全国的な大学改革の取り組みやカリキュラムの大綱化によって,特色ある大学として再編成されようとしている.
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