巻頭言
運動をしよう・させよう・考えよう
補永 薫
1
1順天堂大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学
pp.366
発行日 2023年5月18日
Published Date 2023/5/18
- 販売していません
- 文献概要
外来診療を行っていてしばしば患者さんから聞かれることに,「テレビでこんなリハビリが紹介されてました.私もやってみたいです」「ネットでこんなリハビリを見かけたんですけどどうでしょう」といったものがある.自身の知識や経験の範疇の内容であればその場で答えるが,不勉強から知らないことであれば,後日に答えることもある.そういった情報の中には,なるほど,と唸るようなものもあれば,実際の訓練に対してあまりに過大で魅力的な効果を謳う内容に驚くものもある.
先人たちの努力により,この数十年でリハビリテーション医療の重要性が広く世の中に伝わり,一般的なものとなった.さらに近年では電気や磁気をはじめとしたさまざまな刺激手法,新たなロボットや装具の開発や再生医療の発展などとともに,リハビリテーション治療の選択肢も大きく広がっている.これらの情報はさまざまなメディアやSNSなどのインターネットツールなどでも広がり,一般の方でも容易にアクセスが可能なものとなっている.それ自体は喜ばしいことであるが,それらに交じって出所や根拠の不確かな情報や明らかに実際の効能とは異なる情報も流れており,現在は玉石混交のリハビリテーション医療の情報過多の状態にあるといってよい.
Copyright © 2023, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.