リハビリテーション看護を考える・9
他動運動を考える
上田 敏
1
1東大病院リハビリテーション部
pp.1336-1338
発行日 1972年10月1日
Published Date 1972/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916464
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ナースと他動運動
たとえば脳卒中を起こしたばかりの患者が入院してきたとする.ナースであるあなたは何をしたらよいであろうか.
脳卒中の初期は安静を要する.できるだけ早くベッドから起こし,できるだけ早く立たせるのが原則だとしても,起こしはじめるまでに脳出血なら約1週間,脳軟化(血栓,塞栓)なら2-3日の安静は必要である.そうとすればナースとしてのあなたの第1の仕事は適切な高さのベッドを選び,適切な堅さのマットレスを選んで,それに適切な姿勢で患者を寝かせることである.それについで,適切なやり方で姿勢の変換をはかることが必要となる.あるいは尖足を防ぐための足板(フットボード),またはそれにかわるものが必要になるかもしれない.患側の上肢のわきの下にかかえさせ手先を高く保つためのクッションが必要になるかもしれないし,下肢の(股)外旋を防ぐために大腿部の外側に砂のうをおかなければならないかもしれない.しかし,これらはすべてナースにとってまさに自家薬籠中のものであり,まさにナース特有の分野の仕事であって他の誰の仕事でもないという意味で,いわば安心してとりくむことのできる仕事である.
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