連載 リハビリテーション医学研究のこれから
感動を研究に
田島 文博
1
1和歌山県立医科大学リハビリテーション医学講座
pp.1246-1247
発行日 2022年12月18日
Published Date 2022/12/18
- 販売していません
- 文献概要
医師は目の前の患者に最良の治療を施すことが使命であり,そのためには診療そのものを科学的に解析し,結果を検証する必要がある.したがって,医師は研究者としての素養が要求され,日々の診療行為そのものが科学的行為だといえる.リハビリテーション医学は活動を育む医学であるため,患者をwhole bodyで捉えての研究が,他の臓器別分野に比べて特徴的である.特に,障がい者においては健常者の医学がそのまま応用できない側面が多いため,障がい者の病態生理学的研究も必要である.未来を担う若手リハビリテーション科医がリハビリテーション医学研究を進めるために,僭越ながら私の経験を参考にして患者の診療と研究に役立ててもらえれば幸いである.
まず,私が私見として未来へ向けてのリハビリテーション研究について語るために,私自身の研究者としての歩みを説明したい.表1にまとめてみた.また,私の英文原著論文業績はhttps://wakayama-med-reha.comを参照していただきたい.表1を解説すると,障がい者スポーツ医科学研究は一貫しているが,その他の分野は脈絡がないようにみえる.しかし,「活動性に関する実態調査」「活動性改善方法とメカニズム解明」「障がい者の病態生理解明」という面でどの研究も根底は同じである.リハビリテーション医学の研究においては研究手法や目的は自由で,どのような研究であろうが,方法論に制限や束縛を受けることはない.研究分野も自由であり,分子生物学的,社会医学的,工学的,心理学的,そして応用生理学的分野であろうが,リハビリテーション医学の発展に寄与しない研究分野はないといえる.
Copyright © 2022, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.