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当院のリハビリテーション部とnutritional support team(NST)との関係は,当初はNSTからの協力依頼による参加であったが,次第にNSTカンファランスをリハビリテーション部カンファランスルームで開催するようになり,NST委員長も務めるようになった経緯を経て,リハビリテーション部でも栄養関係に力を入れるようになってきた.リハビリテーション医療を施行するにあたって筋肉量や脂肪量の身体組成評価は有用であるが,当院は急性期病院のため,依頼される症例は救急症例や術後症例または重症難治症例で全身状態や意識状態が悪い症例が多く,主治医による大変な急性期治療の合間に,二重エネルギーX線吸収測定法(dual energy X-ray absorptiometry:DXA)や生体電気インピーダンス法(bioelectorial impedance analysis:BIA)などによる筋肉量の評価をお願いすることは,どうしても憚れて実施しづらい.また,そもそも症例の体力的にもそれらの計測が困難な場合も多い.一方,NSTでは全身状態が悪く意識障害があり,体重や身長の計測が困難な症例でも計測可能な上腕周囲長,皮下脂肪厚を計測し代用していることに触れ,リハビリテーション診療でも,同様の状況下でも計測可能な四肢計測により,とりあえずおおよその筋肉量と脂肪量を把握しておくことを思いついた.症例がまとまったところで上腕筋周囲長,下腿周囲長,握力が自宅退院例と転院例で差があるかについて確認したところ,やはり自宅退院例が転院例より大きい結果であった.さらに四肢計測値に過ぎない上腕筋周囲長,下腿周囲長,握力が本当に実際の筋肉量を反映しているかも確認もしておく必要を感じ,立位がとれる症例に限定されるが,BIAによる筋肉量の指標でありサルコペニアの診断基準にも用いられているSkeletal Muscle Index(SMI)と上腕筋周囲長,下腿周囲長(図1),握力との相関性も確認したところ,やはりよい相関であった.
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