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当リハビリテーションセンターの主な研究活動は,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS),進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症など神経難病の多施設共同研究をはじめ,超音波エコーを用いた筋肉の画像評価やVRゴーグルを用いた自覚的垂直覚検査を行っている.また,療法士と合同で診療録を用いた後方視的研究を行い,普段の経験を今後の診療に役立たせるよう心がけている.超音波エコーはボツリヌス治療の痙縮筋同定から,ALS患者の線維束性収縮の補助診断や筋疾患・重症患者の筋肉の画像評価を行っており,今回はICU症例の急性期超音波筋エコーの評価における研究を紹介する.
ICU入室する重症患者において,神経筋疾患ではないにもかかわらず呼吸筋麻痺や四肢麻痺が観察される.この病態はICU-AW(acquired weakness)と呼ばれ,重症疾患患者では新たに筋障害・神経障害が引き起こされる1).ICU-AW症例において,筋肉・末梢神経の局所炎症所見が示されているが2),筋力低下のメカニズムは不明な点が多い.ICU-AWの頻度はICUに入室した症例の25.3〜57.7%と報告され3-5),ICU領域ではこの疾患概念は浸透してきているものの,一般的にどこまで認知されているかは不明である.人工呼吸器離脱が難渋し,離床が進まないことで気づかれるケースも散見される.ICUから一般病棟に転棟後,原因検索のため主科より新たに脳・脊髄MRIや髄液検査などの検査が追加される症例を経験するが,ICU-AWの病態が広く認知されれば不必要な検査は減り,より的確でスムーズな診療とリハビリテーション治療を提供することができると考えられる.
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