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本稿が掲載されるのは2020年の12月号で今年の最終号となりますが,2020年という年は医療に携わるすべての者にとって生涯忘れられない年となったのではないでしょうか.2019年12月に中国湖北省武漢市を中心に発生した当初はわが国にとって対岸の火事であったCOVID-19は,またたく間に世界中に広まりパンデミックとなりました.3〜4月にかけて国内での重症患者が急増し緊急事態宣言が発令される中で,本学会会員の皆様も大変なご苦労の中で最善のリハビリテーション医療の提供に日々努められておられたのではないかと拝察いたします.
大学の講義は実習を除きほとんどがオンライン講義となり,各種会議や学会もオンラインで行われるようになりました.新しい生活様式にも少しずつ慣れてきた最近の日々の診療の中で思うことは,リハビリテーション医療においてソーシャルディスタンスを確保することの難しさです.もとより患者に触れずに行えるリハビリテーションの治療はほとんどなく,必要な治療時間も確保しなければならず,濃厚接触は避けられません.摂食嚥下訓練などの一部の治療においては,そもそも患者のマスクを外さなくては対応できません.自主トレーニングを行えるような一部の外来患者においては動画を用いた運動指導はある程度有効かもしれませんが,それ以外のオンライン診療はリハビリテーション医療においては現実的ではありません.時間も短縮できず距離も保てないという前提で,患者と医療スタッフ双方の感染予防に配慮しながら診療を行うために,さまざまな対策が必要となりました.当院でもPPE(Personal Protective Equipment)が不足する中でCOVID-19の患者への治療を行うためにスタッフの感染予防に大変苦心してきました.
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