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はじめに
磁気刺激は,パルス磁場による誘導電流を用いた「電極を使用しない電気刺激」である.末梢神経磁気刺激は,高頻度反復磁気刺激装置の登場により,新たなニューロモデュレーション技術として注目されているだけではなく,廃用性筋萎縮の防止効果などにおいて電気刺激に対する優位性が報告されている.
磁気刺激は皮膚抵抗の影響を受けないため,表在の痛覚神経を興奮させることなく深部の運動神経と固有感覚神経を興奮させることができる (図1)1).反復末梢神経磁気刺激(repetitive peripheral nerve magnetic stimulation:rPMS)の効果に関する総説2)においては,脊髄神経根,末梢神経,骨格筋への刺激による痙縮の軽減,運動障害の改善を報告した13文献がレビューされている.それに続く総説3)では,感覚運動障害,疼痛の治療に用いられるrPMSの刺激パラメータに関して24文献がレビューされている.
固有感覚神経の興奮は,rPMSによるニューロモデュレーション効果の重要な機序と考えられている.加えて,痛覚神経を興奮させないことにより,単に疼痛・不快感を生じない4, 5)だけでなく,痛覚神経の興奮による脊髄6)と大脳皮質7)における運動ニューロンの抑制を避けることができると考えられる.また,刺激コイルを移動させることにより,容易に刺激部位を探索し,複数箇所を短時間で刺激することが可能である.さらに,衣服の上から刺激することができることは,体幹や四肢近位部の刺激に有利である.
本稿では,疼痛を含むさまざまな感覚運動障害に対するrPMSの臨床応用と末梢神経刺激に特化した刺激装置の開発について概説する.なお,研究方法で用いられる経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)に関連した事項については文献8)を参照していただきたい.
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