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はじめに
医療の本質は患者をよくすることであり,リハビリテーション医療では特に活動を育むことを主たる目標としている.基本的には診察・検査し,診断したうえで最良のリハビリテーション医療を施行する.いうまでもなくリハビリテーション治療は,手術療法や薬物療法と同じ治療であるが,直接的にはチーム医療の一環としてリハビリテーション専門職種が施行するという特徴がある.リハビリテーション科医は手術や投薬も含め患者の治療に取り組む.
リハビリテーション医学は活動性が主な治療対象であるため,主とする臓器をもたないという特徴がある.しかし,それはリハビリテーション医療において臓器別治療や医学的全身管理が必要ないという意味ではない.むしろ患者の全身管理や原疾患の治療は重要で,まずは原疾患治療に取り組む.もちろん,他の診療科医師と協調するが,多くの患者には合併症があるため,その治療や再発を予防する基礎疾患の医学的コントロールが必須である.例えば,脳血管障害と糖尿病を合併した変形性膝関節症患者が人工膝関節置換術を受けるとき,手術は整形外科医が行い,糖尿病は内科が診る.しかし,その患者のリハビリテーション治療については脳血管障害後遺症を含め,リハビリテーション科医が診て活動性を治療する.特に,運動中の輸液,酸素投与量,循環・呼吸の調整などはリハビリテーション科医の得意分野といえる.
特に,急性期は患者の全身状態が不安定なこともあり,リハビリテーション科医の活躍が直接結果に反映する.発症初期の超急性期から急性期にあたる期間のリハビリテーション医療を担っている大学病院では各診療科が臓器別治療を最良な形で行っているが,活動性改善の観点からの治療はリハビリテーション科が担っている.例えば,脳血管障害患者に対しても最大限の回復を促すために可能な限り早期に,高強度,高負荷のリハビリテーション治療を安全に施行すれば患者の活動性は劇的に改善する.リハビリテーション科医と習熟した療法士がリハビリテーション医療を施行することが大切である.
今回,われわれの脳血管障害患者に対する超急性期からのリハビリテーション医療の実践内容とその効果,さらに習熟した療法士を養成するための当科療法士教育について紹介する.
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