投球障害肩のリハビリテーション治療

Rehabilitation of Throwing Shoulder

はじめに

　投球障害肩はほとんど日常生活に支障がなく，投球時の痛みを訴える．その治療におけるリハビリテーションは，痛みなく投球できる段階まで導かなくてはならない重要なところである．投球時痛を訴えて来院した選手に対し，一般の整形外科疾患に行う関節可動域測定，徒手筋力測定，神経学的診察法などを行っても異常所見が乏しい．肩の関節唇損傷や腱板損傷の徒手検査も散見されるが，手術を勧めるほどの決め手にはならない．本稿では，著者が用いている異常所見を取得しやすく，選手もその異常所見に納得する野球肩理学所見11項目を含めた診察法と，画像補助診断法から投球障害肩の診断法を述べて，次にそれらに対するリハビリテーションを中心とした保存的療法について述べたい．