巻頭言
“がんと共存する時代”の新しい医療のあり方
辻 哲也
1,2
1慶應義塾大学病院腫瘍センターリハビリテーション部門
2慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
pp.408
発行日 2017年6月16日
Published Date 2017/6/16
- 販売していません
- 文献概要
わが国における悪性腫瘍(以下,がん)の罹患者数は年々増加し,生涯でがんに罹患する確率は,ほぼ2人に1人である.がんは,疾病対策上の最重要課題として対策が進められ,半数以上の方が長期生存可能な時代となり,がんが“不治の病”であった時代から,“がんと共存”する時代となった.
2006年に制定された「がん対策基本法」では,基本的施策として「がん患者の療養生活の質の維持向上」が挙げられており,症状緩和や心理・身体面のケアから自宅療養や復職・復学支援などの社会的な側面までサポートする(=サポーティブケア),“がんと共存する時代”の新しい医療のあり方が求められている.2016年12月に,がん対策基本法改正法が成立したが,第17条では「がん患者の療養生活の質の維持向上に関して,がん患者の状況に応じた良質なリハビリテーションの提供が確保されるようにすること」が新たに掲げられた.現在策定中の第3期がん対策基本計画においても,ライフステージやがんの特性を考慮した個別化医療の必要性が重点課題となる中で,がんリハビリテーションは,重要な施策の1つとなるであろう.
Copyright © 2017, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.