リハニュース【Topics】
義肢装具における3Dプリンターの活用
浅見 豊子
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1佐賀大学医学部附属病院リハビリテーション科
pp.392-393
発行日 2017年5月18日
Published Date 2017/5/18
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はじめに
通常の紙に平面(二次元)的に印刷するプリンターに対して,3DCAD,3DCGデータを元に立体(3次元のオブジェクト:製品)を造形する機器を3Dプリンター(additive manufacturing装置)という.日本語では立体印刷機ともいわれている1).①成形型を用いずに単品または少数のモデル製作ができる,②形状の異なる複数のモデルを一度に短時間で製作できる,③製作自体には個人の技術力に依存しない,などといった特徴をもつ.3Dプリンターは,1990年頃より産業用として,デザインの実体化や形状を確認するための試作品を作る目的で使用されていたが2),近年では熱溶解式の低価格な製品の販売により,一般の人にも身近なものとなっている3).あわせて最近よく耳にするのが,ICT(information and communication technology)である.ICTとは,新産業革命あるいはデジタルファブリケーション4)などとも呼ばれている.このデジタルファブリケーションとは,モノづくりの一手段ではなく,デジタルデータからさまざまな物質(フィジカル)を生み出し,さまざまな物質を自由に相互互換するための技術の総称5)であるとされている.3Dプリンターは,このデジタルファブリケーションを実現するテクノロジーになる.つまり,3Dプリンターは,情報を踏まえて実体を作り出すため,異なる個人のニーズや嗜好を表現できる.このことが,義肢装具を含めた福祉用具や各種の支援機器や道具に求められる多様な個別性への対応を可能にするとして,3Dプリンターは義肢装具領域でも注目を浴びている.
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