連載 高次脳機能障害に対する認知リハビリテーションの技術・第1回【新連載】
長期的な医療と地域の連携により復職を達成し得た重度出血性梗塞例
渡邉 修
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
キーワード:
高次脳機能障害
,
地域連携
,
復職
Keyword:
高次脳機能障害
,
地域連携
,
復職
pp.69-72
発行日 2016年1月18日
Published Date 2016/1/18
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はじめに
脳損傷後の認知障害および社会的行動障害は,重度例であっても,数年以上にわたってなだらかな回復をみせる.しかし,医療で急性期以後も継続的にリハビリテーション(以下,リハ)を提供することは困難であり,さらに,社会性を再獲得していくためにも,地域のさまざまな資源を医療との連携のもとに活用することが必須である.地域をベースとしたリハの効果は,入院でのリハと同程度の効果が期待されるとするエビデンスがあり1, 2),地域連携は地域リハを成功させるうえで,欠かすことができない.
本稿では,「発症以前の世界が,厳然と今も存在する」と主張し,頑なに否定的態度をくずさなかった重度出血性梗塞による失語症および右片麻痺のある青年男性に対し,5年半にわたる複数の社会資源を利用した連携体制により,復職が可能となった経過を報告し,考察を行う.
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