特集 ニューロリハビリテーションと理学療法
ニューロリハビリテーションの現状と課題
渡邉 修
1
,
来間 弘展
1
,
松田 雅弘
2
,
村上 仁之
3
,
渡邊 塁
4
,
妹尾 淳史
5
Watanabe Shu
1
1首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
2了德寺大学健康科学部理学療法学科
3植草学園大学保健医療学部理学療法学科
4清瀬リハビリテーション病院
5首都大学東京健康福祉学部放射線学科
pp.1005-1015
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101305
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はじめに
脳の病態を視覚的に捉えようとするニューロイメージングの技術は,1973年のHounsfield1)によるX線CT(computed tomography)の開発から本格的に始まった.1980年代には,15O標識水とポジトロン放射断層撮影法(positron emission tomography:以下,PET)を用いた脳血流量測定法が確立した.一方,1973年にLauterbur2)が核磁気共鳴現象による物体の空間的構造の2次元画像化に成功したことでMRI(magnetic resonance imaging)の基礎が確立し,その後,機能的MRI(functional-MRI:以下,fMRI)による臨床報告が初めて行われたのは1991年であった3).さらに,1993年以降,近赤外線による生体の酸素化状態の計測原理によって,脳の活動状態をも捉える機能的近赤外分光法(functional near-infrared spectroscopy:以下,fNIRS)を用いた報告が相次いでみられるようになった4).以後,ニューロイメージング技術の発展とともに,中枢の神経機構,病態,診断,治療効果,神経の可塑性などに関する膨大な臨床報告がなされ,特にこの10年の知見によって,脳科学の機能解剖学的な基盤は飛躍的に進歩している.
本稿では,ニューロイメージングを理解する際に必要な脳循環代謝の知識について簡単に整理し,現在までに理学療法学の分野で広く応用されているPET,fMRI,fNIRSの原理および特徴に触れ,最後に,fMRI,fNIRSを用いた自験例および先行研究を紹介する.
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