第51回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 パネルディスカッション◎リハビリテーション医学評価としての電気生理学
経頭蓋磁気刺激を用いた脳卒中後運動麻痺の可塑性評価
竹内 直行
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1東北大学大学院医学系研究科肢体不自由学分野
pp.340-343
発行日 2015年6月18日
Published Date 2015/6/18
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はじめに
生体に大きな変動磁場を体外から引き起こし生体内に生ずる渦電流がニューロンを刺激する経頭蓋磁気刺激(Transcranial magnetic stimulation:TMS)は簡便に錐体路機能を評価できることから,脳卒中後の運動機能に関する研究が多く行われている.特に障害側運動野から麻痺側手指の運動誘発電位(Motor evoked potential:MEP)が脳卒中発症早期より導出可能な症例は機能予後が良好でありメタ解析もその結果を支持している1).錘体路機能だけでなく,TMSは脳可塑性の研究にも利用され,代表的なものとして皮質内抑制機能の研究が挙げられる.図1に急性期から慢性期にかけて障害側運動野の抑制機能が脳可塑性に与える影響の推移につきまとめる2).また障害側運動野の評価だけではなく,健側半球を含めた運動関連領域の研究から脳卒中後の不適切に生じた可塑性が運動障害のさらなる悪化を引き起こすMaladaptive plasticityの概念が近年指摘されている3).本文ではMaladaptive plasticityに影響を与える,(1)同側回路,(2)半球内・半球間対立モデル,(3)リハビリテーション(以下,リハ)および非侵襲的脳刺激を中心にTMSを用いた脳卒中後運動麻痺の研究を紹介し,可塑性メカニズムについて考察を行う.
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