第51回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 パネルディスカッション◎リハビリテーション医学評価としての電気生理学
電気生理学的検査の摂食嚥下領域への応用
青柳 陽一郎
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1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座
pp.344-347
発行日 2015年6月18日
Published Date 2015/6/18
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はじめに
摂食嚥下障害の臨床現場での評価は,嚥下造影検査(videofluorography:VF)がゴールドスタンダードといわれて久しい.最近では嚥下内視鏡検査(videoendoscopy:VE)がこれに続く.VFやVEを用いると食塊通過の様子を観察することができ,誤嚥や咽頭残留の評価に適している1〜3).近年,本邦のみでなく世界的に臨床場面で広く使用されている.しかし,VF・VEは嚥下障害の原因や神経生理学的側面を評価するには必ずしも適していない.
嚥下障害の神経生理学的背景を評価するツールとしては,筋電図検査(electromyography:EMG)や嚥下圧検査(manometry,マノメトリー)がある.嚥下反射における輪状咽頭筋の作用は,おおまかに言えば弛緩とそれに続く開大からなるが,筋電図検査と嚥下圧検査は輪状咽頭筋の弛緩の有無・程度や長短を鑑別するのに役立つ.また,多チャンネルから筋電図波形を記録することにより,嚥下関連筋の一連の協調運動を評価することができる.
本稿では,嚥下反射の神経生理学的側面の概略を説明し,嚥下筋電図や嚥下圧検査がどの生理学的現象をみているのか,どのような患者あるいはタイミングで行うべきかについて概説したい.
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