第51回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 シンポジウム◎活動機能構造連関—活動が変える—
競合的な小脳神経回路発達の分子細胞基盤
渡辺 雅彦
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1北海道大学医学研究科解剖学講座解剖発生学分野
pp.104-107
発行日 2015年2月18日
Published Date 2015/2/18
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はじめに
活動依存的なシナプス可塑性の誘導・発現機構は神経科学研究の中心的命題の1つとして,これまで精力的に解析されてきた.可塑性誘導・発現機構は,成体期における高次神経機能の基盤となり,発達期にはシナプス回路改築の基盤として働く.著者は,小脳プルキンエ細胞を中心として,シナプス可塑性に関与するグルタミン酸受容体やその下流分子の発現局在や,その遺伝子欠損マウスの形態学的解析を通じて,シナプス回路発達の分子機構を追求してきた.その結果,活動依存的な強化と除去を基盤とする競合的なシナプス刈込みには細胞内Ca2+制御機構が中心的役割を果たし,その競合が由来や性質の異なる異種入力線維間で起こる際には入力選択的なシナプス接着分子機構が関与することを目の当たりにしてきた1).本稿では,平行線維シナプス選択的なグルタミン酸受容体GluD2と分泌性分子Cbln1が入力選択的な接着分子として,電位依存性Ca2+チャネルCaV2.1と代謝型グルタミン酸受容体mGluR1がCa2+制御分子として,小脳プルキンエ細胞のシナプス回路発達を制御していることを紹介する.
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