第51回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 構造教育講演◎高次脳機能障害対応
概説:高次脳機能障害の定義−病巣と症候の整理−
石合 純夫
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1札幌医科大学医学部リハビリテーション医学講座
pp.771-773
発行日 2014年12月18日
Published Date 2014/12/18
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はじめに
我が国において,医学的に「高次脳機能障害」と呼ばれているものは,失語,失行,失認が代表的であり,さらに,記憶障害,半側空間無視,遂行機能障害も含む.要素的な運動・感覚を越えて,いつ,どこ,何,どうする,あるいは,個体同士の相互作用などの側面に1つでも関与し,感覚と運動がつむぎ合わされれば「高次」な脳機能であり,脳の損傷により様々な障害が起こる1).除外すべき病態は意識障害とせん妄である.
高次脳機能障害は,症候と病巣あるいは脳の神経ネットワークとの対応を理解すると見落としのない診療が可能となる.ヒトの大脳半球は,種々の高次脳機能に関して,左右の大脳半球への機能分化がみられ,これを「側性化(lateralization)」という.右利き者の大半において,左半球が言語性優位半球である.一方,右半球で最も優位性が確実なのは,空間性注意機能である.左右の大脳半球の側性化を図1に示す.
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