第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《パネルディスカッション》最近リウマチ治療―座長/織田 弘美
関節リウマチにおける骨関節破壊の機序と対策
門野 夕峰
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1東京大学大学院医学系研究科感覚・運動機能医学講座整形外科
pp.690-693
発行日 2012年10月18日
Published Date 2012/10/18
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はじめに
関節リウマチは持続する滑膜炎を特徴とする炎症性疾患であり,発症早期から徐々に骨関節の破壊は進行していく.骨関節の破壊は疼痛の原因となるだけでなく,変形をきたすほど関節破壊が高度になると運動機能障害をきたし,日常生活のさまざまな側面で支障をきたすようになる.関節リウマチ患者の関節内を眺めると,持続する炎症によって絨毛状に増生した滑膜が見られ,顕微鏡で見ると線維芽細胞のみならずT細胞やB細胞といったリンパ球,マクロファージなど免疫担当細胞の浸潤も見られる.これらの細胞からはTNFα(tumor necrosis factor alpha),IL-1(interleukin-1),IL-6などの炎症性サイトカインが旺盛に産生され,病態形成に寄与していると考えられている.関節表面に存在する滑膜はマトリックスメタロプロテアーゼやカテプシンなどタンパク分解酵素を分泌して軟骨基質を分解するとともに,パンヌスと呼ばれる関節軟骨辺縁部においては破骨細胞が骨吸収を行っている.TNFαなどの炎症性サイトカインは,炎症状態を持続させるために重要な役割を果たすとともに,破骨細胞分化因子RANKL(receptor activator of NF-kappaB ligand)の発現誘導を介して,パンヌスにおける破骨細胞分化を誘導して骨関節破壊にも間接的に関与している.
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