第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《パネルディスカッション》最近リウマチ治療―座長/織田 弘美
関節リウマチ骨破壊のメカニズム
中島 友紀
1,2
,
高柳 広
1,2,3,4
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学
2科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(ERATO)高柳オステオネットワークプロジェクト
3グローバルCOEプログラム 歯と骨の分子疾患科学の国際教育研究拠点
4東京大学大学院医学系研究科免疫学
pp.683-689
発行日 2012年10月18日
Published Date 2012/10/18
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はじめに
骨代謝と免疫系は,サイトカインや転写因子など多くの制御因子を共有しており,実に密接な関係にある.そのため,生体防御に伴う免疫応答や自己免疫性疾患による免疫系の異常な活性化は,骨代謝に影響を及ぼすことになる.骨免疫学は,「骨と免疫の相互作用」という概念を,分子レベルの実態として明らかにするために発展してきた学際領域である.近年,マウスジェネティクスの進歩に伴い,単なる細胞レベルでの現象としてではなく,生体レベルでの検証が可能となったことが,骨免疫学を他の生命科学の研究領域に匹敵する分野へ発展させることに大きく貢献した1).
骨と免疫の接点にある最も典型的な疾患として関節リウマチ(RA)が挙げられる.RAは自己免疫疾患でありながら最も重大な病状が骨に現れ,異常に活性化された破骨細胞により重篤な骨の破壊を発症する.しかし,免疫系の異常と骨破壊を結びつけるメカニズムは長い間明らかにされていなかった.この疑問に答える大きな起点は,破骨細胞分化因子RANKL(receptor activator of NF-κB ligand)の発見にある1,2).近年,RA骨破壊の病態および破骨細胞の分化制御機構の理解が深まる中,骨免疫学的アプローチから提供される新たな知見が,臨床的にも重要性を増してきている.
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