第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《シンポジウム》脳卒中の最新治療-急性期から維持期まで-―座長/安保 雅博
脳卒中急性期の血管内治療
山上 宏
1,2
,
坂井 信幸
3
1神戸市立医療センター中央市民病院神経内科・脳卒中センター
2(現)国立循環器病研究センター脳神経内科
3神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科
pp.379-384
発行日 2012年7月18日
Published Date 2012/7/18
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主幹脳動脈閉塞に対する再開通療法
脳卒中の中でも,内頚動脈や中大脳動脈など主幹脳動脈の急性閉塞による脳梗塞は,生命予後や機能予後がきわめて不良である.血管閉塞によって虚血中心部では短時間に脳神経細胞が壊死に至るが,その周囲には血流低下によって機能障害を呈するものの神経細胞死には至っていない領域がある.この部分は閉塞血管の再開通により機能回復が得られる可能性があり,ペナンブラ領域(ischemic penumbra)と呼ばれている.ペナンブラ領域は,脳血流低下の程度だけでなく虚血時間にも強く関係し,血管閉塞から3~6時間程度でほとんどの部分が神経細胞死に至るとされている1).したがって,脳梗塞急性期治療は,閉塞血管を出来るだけ早期に再開通させ,ペナンブラ領域を救済することが目的となる.
再開通療法として代表的なものが組織プラスミノーゲン活性化因子(recombinant tissue plasminogen activator:rt-PA)による血栓溶解療法であり,発症3時間以内の急性期脳梗塞に対する有効性が証明され2),我が国でも2005年10月から保険適用となった.近年,発症4.5時間以内の脳梗塞にも有効であることが示され3),各国で適用拡大が進んでいる.
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