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はじめに
進行がん,末期がん患者が様々な体調変化を持ちながらも在宅療養を選択することは年々増加傾向にある.終末期医療の発展とともに,治療・ケアの多くを在宅で行うことが可能になり,2007年にはがん対策基本法が施行,がん医療の均てん化の促進等として,「がん患者の療養生活の質の維持向上」という項目が盛りこまれた.療養生活の質を求める上で,在宅療養は多くのがん患者が希望するところであるが,介護者負担や急変時の対応などについての不安が大きく,実現困難であると感じる者も多い.2010年にまとめられた「終末期医療に関する調査」1)によると自宅で最期まで療養することについて実現可能かという問いに,一般国民の66.2%が「実現困難である」と回答,その理由として「介護してくれる家族に負担がかかる」「病状が急に悪くなった時の対応に自分も家族も不安である」という回答が多数を占めている.
しかしながら,住み慣れた自宅は,在宅療養を希望する者にとって尊厳をもって人生を完結するための場所であり,それを支える家族にとっても二度とない大切な時間を共にする場所となる.いかにしてがん療養者と家族の不安を解決し,在宅療養を可能にするか……この問題にリハビリテーション(以下,リハ)介入が果たす役割は大きい.症状の緩和,身体機能低下に合わせた福祉用具の選定,介護者負担軽減等に対し継続的な関わりを持つことは,療養生活を安定させ,本人や家族の不安を和らげるための大きな支援になる.また,早期からの関わりによって,より多くのがん患者の在宅療養の可能性が広がると考えられる.
今後,地域包括ケアシステムの構築が進められる中,在宅療養しやすい環境が整えられ,多くのがん患者が自宅療養を選択することが予測される.人生の質とも言えるこの時期の生活の質(QOL)を高めるため,リハの介入意義は大きい.
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