特集 働く人の健康と地域保健
農業労働者とその家族への取り組み
菊池 智子
pp.549-557
発行日 1997年7月10日
Published Date 1997/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901601
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はじめに
南牧村は,八ヶ岳山麓に広がる標高1000〜1300mの高冷地で,北海道とともに戦後50年の開拓史で有名な野辺山開拓による,高原野菜と一部が酪農を営む農業立村である(図1)。近年では,都心から2時間余という地の利を生かし,夏は避暑地として,また冬はスキーなどの観光地としても脚光を浴びている。
標高の高い立地条件を生かした,レタス,キャベツ,白菜の栽培は,隣村の川上村と生産量全国1,2位を競っている。その農業形態は,大規模経営の農家が多く機械化も進み,一戸当たりの生産農業所得も他農村に類を見ないほど高額であるが,一方,新農業政策のもとで生産と生活は年々厳しさを増してきている。特に市場の流通機構のシステムにより,従事する人にとっては早朝(午前3〜4時)からの出荷作業を余儀なくされる就業時間の厳しい労働という点で問題があり,一方,畑は大量の化学肥料や農薬をまきつづけられるという点で,人も畑もともに連作障害の現状にあるといえる。
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