第47回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/鹿児島 《教育講演》
小児骨関節疾患のリハビリテーション
芳賀 信彦
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1東京大学医学系研究科リハビリテーション医学
pp.46-51
発行日 2011年1月18日
Published Date 2011/1/18
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はじめに
小児の骨・関節には,解剖学的に成人と異なる特徴があり,またその形態は経時的に変化していく.例えば膝関節の前額面におけるアライメントは,1歳では内反しているが,2歳で外反膝に転じ3歳で外反はピークとなり,以後8歳前後までかけて外反が減じて成人と同じアライメントにいたることが知られている1).また,骨には軟骨成分が多く,特に成長軟骨帯の存在は特徴的である.このような特徴をもつ小児の骨関節疾患に対するリハビリテーション(以下,リハ)に際しては,成人とは異なる考え方や注意が必要となる.特に成長・発達ということ,さらには一生のごく初期に過ぎないということを考えれば,疾患の自然経過や治療介入の長期予後を良く知ることが重要である.小児の骨関節疾患の長期経過観察については,アイオワ大学整形外科を設立したSteindlerの功績が大きい.彼は疾患の自然経過や,治療が自然経過に与える影響を明らかにするには,フォローアップ研究が必要であることを強調し,優れた記録システムを作った.この成果は,100例以上の未治療特発性側弯症の自然経過を50年以上に渡って観察した研究2)に代表されるが,アイオワ大では側弯症以外にも多くの疾患の長期観察結果を報告している.
本稿ではページ数の制限もあるので,数多い小児骨関節疾患の中からリハや装具治療の介入機会が多く,また成人期までを考えた取り組みが必要な疾患として,ペルテス病と先天性多発性関節拘縮症について解説する.
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