第47回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/鹿児島 《シンポジウム》片麻痺上肢への革新的治療法―座長/才藤 栄一・生駒 一憲
新しい機能的電気刺激療法を用いたニューロ・リハビリテーション
原 行弘
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1日本医科大学千葉北総病院リハビリテーション科
pp.196-202
発行日 2011年3月18日
Published Date 2011/3/18
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はじめに
従来,脳卒中上肢麻痺は発症後3カ月以降にはほとんど機能がプラトーになるといわれ,リハビリテーションアプローチは“残存機能を生かす”つまり非麻痺側の機能を積極的に高めて麻痺肢を代償することによって,日常生活動作(ADL)を獲得するものとされてきた.さらに,20世紀までは,脳をはじめとする中枢神経は損傷すると再生することはないといわれてきた.しかし,脳にも神経幹細胞が発見され,脳神経が再生する可能性が示されるとともにニューロイメージングの発展によって,脳神経機構の再構築の存在が明らかにされた.一方で,損傷後の神経機能回復促進を目的にしたニューロ・リハビリテーション(以下,ニューロリハ)という概念が提唱されてきた.これは,脳の運動学習メカニズムによって,麻痺した筋肉を動かすこと自体が脳神経再構築を促す治療になることに基本をおいた概念である.この基本理念に基づいて中枢神経の回復過程における脳の可塑性や神経ネットワークの再構築がニューロイメージング研究で確認されている.神経機構再構築の機序として,①神経結合の再構成,②感覚―運動統合,③運動領域の皮質結合,などが考えられている.
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