第47回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/鹿児島 《シンポジウム》臨床神経生理学とリハビリテーション―座長/木村 彰男・岡島 康友
誘発電位F波を用いたリハビリテーションの研究
松元 秀次
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1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科運動機能修復学講座リハビリテーション医学
pp.848-855
発行日 2010年12月18日
Published Date 2010/12/18
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はじめに
F波は,運動神経を最大上刺激することにより発生した逆行性インパルスが脊髄前角細胞に向けて上行し,前角細胞で発生した電位が順行性インパルスとなって末梢神経を下行して支配筋に発生した筋電位をいう1).つまり,F波はα運動ニューロンの逆行性興奮による運動細胞の発射による誘発電位であり,シナプスを介さない,1回の電気刺激で数個の前角細胞が発火する複合筋活動電位(compound muscle action potential)の1つともいえる.
F波検査をすることにより得られる指標がいくつかあり,それらの分析により末梢神経近位部の伝導性,前角細胞の興奮性,運動単位数の評価・解釈が可能である2).発現の経路が明らかなことから,これまでに運動神経の近位部の伝導性を調べる検査として主に利用されてきた.最近の研究では,脊髄前角細胞の興奮性評価に応用されている.そこで今回我々は,「誘発電位F波を用いたリハビリテーションの研究」として,“各種リハ治療の抗痙縮効果”と“運動イメージによる脊髄前角細胞に対する促通効果”についてF波を用いて検討した.
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