技術講座 生理
誘発電位1—視覚誘発電位
小口 芳久
1
1慶応大学眼科
pp.333-336
発行日 1986年4月1日
Published Date 1986/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203627
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
視覚誘発電位(VEP)とは
視覚誘発電位(visually evoked potential;以下VEPと略す)は,視覚刺激をしたときに誘発される電位であり,一種の頭皮上から得られる誘発脳波である.網膜に光刺激あるいはパターン刺激を行うと,網膜に生じた電位は網膜外層から視神経を通過して外側漆状体へ到達し,そこでニューロンを代えて視放線を通り後頭葉中枢に終わる.この経路は特殊性投射(specific projection)といわれている.これに対して,一部の神経線維は外側膝状体を通過せず視床前域,視床核の外側部および後部,視蓋前域,上丘へ投射する非特殊性投射(nonspecific projection)の経路もある.VEPは,特殊性投射により後頭葉視中枢第IV層にあるType II Golgi細胞を興奮させ,さらにその表層あるいは深層にある錐体細胞,星状細胞を興奮させた結果生じる大きな電位が主であるが,その他非特殊性投射の関与もあると考えられている.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.