- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
1999年に厚生省(現厚生労働省)老健局老人保健課が中心となり作成された“地域リハビリテーション支援マニュアル”では,各地域におけるリハビリテーション(以下,リハ)サービスとして急性期・回復期・維持期リハの整備推進が必要とされた.そして翌2000年の介護保険制度の施行と同期して,日常生活動作(ADL)の向上,寝たきりの防止,在宅復帰の推進を目的とした回復期リハ病棟が新設された1).その後診療報酬の改定により,入院対象疾患の拡大,入院までの日数および入院算定上限日数の短縮,アウトカム評価の導入2)が行われた.現在全国で病床数は5.6万床(2009年12月)に達しており3),リハ医療を担う一大拠点となっている.しかし病床数が増加する一方で,病棟によって提供できるリハサービスの質に大きな差が生じていることが指摘されている4).また回復期病棟に勤務するリハ科専門医は2割程度に留まっている5).
当院は広島市の西部に位置する開業22年目のリハ専門病院である.2000年から回復期病棟の運営を開始し,現在3病棟全てが回復期病棟(139床)となっている6).2008年度からは入院料1+重症回復加算(1,740点/日)を算定している.入院患者の約7割は脳血管障害,2割が整形外科疾患であり,入院患者の平均年齢71歳,再入院を除く平均在院日数は87日である.現在患者1人1日あたりに提供しているリハ単位数は,平均で約8.5単位である.
本稿では,「在宅復帰」に向けた当院の取り組みを中心に紹介し,そこでのリハ科専門医の役割を考えていきたい.なお,「在宅」には自宅や居宅施設等が含まれるが,本稿では自宅(あるいは家族宅)を指すこととする.
Copyright © 2010, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.