第45回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/横浜 《シンポジウム》高齢化社会におけるQOL向上の方策―地域連携システムの構築に果すリハビリテーションの役割―座長/畑野 栄治・水間 正澄
地域包括支援ネットワーク
伊藤 利之
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1横浜市総合リハビリテーションセンター
pp.292-296
発行日 2009年5月18日
Published Date 2009/5/18
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はじめに
わが国の社会保障制度は今,「保護」を基調とした保障制度から,国民の生活水準の向上に合わせて,「自立」を基調とした制度へと改革が進められている.過去においては,高齢者は稀な存在との認識に基づき,その介護サービスは医療保険と老人福祉制度によって賄ってきた.しかし2000年,これを根本的に変えて医療と介護を分離,あらたに高齢者の「介護保険制度」を創設した.その後,医療保険のサービスは急性期~回復期に絞られ,維持期は介護保険のサービスへと移行,さらに施設サービスを見直し,地域・在宅を主体とするサービスへとシフトする方向性が明らかにされている.
このような流れのなかで,高齢者や障害者の包括的な地域生活支援ネットワークを構築することは焦眉の課題である.ちなみに発症から在宅生活に至るまで,医療・リハビリテーション(以下,リハ)・介護の連続かつ効率的なサービス体制を整備するには,急性期リハと地域リハの充実が必須である.その際,憲法第25条の生存権を保障する共通サービスと個別ニーズに基づくサービスを棲み分け,主に公的サービスを軸にネットワークの基盤を整備し,その上に民間を軸とした個別サービスの提供システムを構築することが肝要である.
以上のような観点から,主に技術的側面を中心に,横浜市における地域リハシステム構築の経過と,介護保険制度の導入や医療保険制度の改革など,その後の変化と問題点,今後の展望について私見を述べる.
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