第45回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/横浜 《シンポジウム》痙縮に対する治療介入―座長/浅山 滉・正門 由久
神経ブロック
中馬 孝容
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1滋賀県立成人病センターリハビリテーション科
pp.160-165
発行日 2009年3月18日
Published Date 2009/3/18
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はじめに
痙縮に対する治療としては,抗痙縮剤による薬物療法,リハビリテーション(以下,リハ)訓練,装具療法,神経ブロック,バクロフェン髄腔内投与,選択的末梢神経縮小術や選択的筋切離術などの外科的処置がある.その中で最初に行う治療としては薬物療法およびリハ訓練があるが,これらの保存的治療により適切な効果がみられない場合は,選択的に痙縮の原因となっている筋を同定した上での神経ブロックを行い,随意運動を円滑に行えるように痙縮のコントロールを図る.痙縮のコントロールとしての神経ブロックに関するエビデンスとしては,フェノールによる神経ブロックおよびエチルアルコールによる神経ブロックの効果はレベルⅢの報告があり1~4),上肢痙縮に対するボツリヌス毒素注射による効果はレベルⅠa,Ⅰbレベル5~7),下肢痙縮に対してはⅠbレベルの報告がある8,9)(表1).片麻痺の痙縮による肩痛に対してのボツリヌス毒素注射の効果についての報告もみられている10).
海外ではボツリヌス毒素注射の使用が多いが,日本で行われている神経ブロックは,1)フェノールやエチルアルコールを用いた神経ブロック,2)muscle afferent block(MAB),3)ボツリヌス毒素注射がある.次に,順に解説を行う.
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