第44回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/神戸 《シンポジウム》若年者脊髄損傷のトータルケア―座長/富永 俊克・柳 重行
産業医学・保健の観点から
和田 太
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1産業医科大学リハビリテーション医学講座
pp.152-156
発行日 2008年3月18日
Published Date 2008/3/18
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トータルケアとは
本シンポジウムの題名「若年者脊髄損傷のトータルケア」にも含まれているトータルケアの意味から考えていきたい.疾病や健康の管理において,トータルケアの視点からシームレスにアプローチすることが,良い結果を生むことについてはおそらく異論がないところと思われる.多くの医療機関において各疾患に対してトータルケアを理念に掲げ,診療活動が行われていることが多いようである.しかしながら,このトータルケアという言葉は,何を対象にしているかによって,その意味は大きく違ってくるように見受けられる.医療や保健の現場で使用されているトータルケアの概念についてみてみると,大まかにまとめてみると3つの軸をもっているのではないかと筆者は考えている(図1).
1つ目は職種・診療科の連携,医療・保健・福祉の連携,身体面・精神面・社会面などのアプローチなど「領域の軸」,2つ目は,コミュニティ,学校,職場,家庭,病院の「地域の軸」である.これらの横断的な軸に加え,縦断的な軸である「時間の軸」(加齢や成長を含む)がある.これらの軸の中でとぎれることなく,予防,治療やケア等〔リハビリテーション(以下,リハ)を含む〕を展開していくことが,トータルケアの1つの考え方と思われる.
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