- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
ビルの谷間を吹き抜ける風に秋の気配をわずかに感じる季節となりました.今号には,第7回言語聴覚研究優秀論文賞の発表,第17回日本言語聴覚学会の事後抄録,パーキンソン病の嚥下機能に関する原著論文が掲載されています.
第17回日本言語聴覚学会は瀧澤透氏(京都府言語聴覚士会会長・京都光華女子大学教授)を会長として京都市で盛大に開催されました.本学会では,“コミュニケーション”をキーワードとして「チンパンジーが教えてくれた人間のこころ・ことば・きずな」(松沢哲郎先生),「ことばと生活とコミュニケーション」(浜田寿美男先生),「社会的コミュニケーションを支える脳」(村井俊哉先生),「周産期からの身体感覚と社会的認知の発達的関連」(明和政子先生)などの講演があり,高度な象徴機能をもつことばが他者理解や社会的共生とどのようにつながっているかについて,神経科学,発達学,コミュニケーション科学から最新の研究情報が披露されました.一般演題は309題に上り,各種障害への対応や臨床現場の問題について多彩な観点から興味深い研究発表がなされました.特に,現在の医療福祉における重要課題となっている地域包括ケアについて,随所で充実した討議が繰り広げられました.また近年,言語聴覚士はASHAなど国際学会で研究発表をする機会が増えてきましたが,本学会では「国際学会での発表のしかた:JICA協力隊員報告」のセッションが設けられ,多数の会員が熱心に傾聴しました.来年9月にわが国で開催される「Asia Pacific Conference of Speech, Language and Hearing」において,このセッションの成果が発揮されることを望みます.
Copyright © 2016, Japanese Association of Speech-Language-Hearing Therapists. All rights reserved.