リポート「現場,最前線」
新生児聴覚スクリーニングにおける言語聴覚士の役割
森本 邦子
1
1佐賀大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
pp.120-123
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001100291
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1.はじめに
本邦における新生児聴覚スクリーニングの取り組みは,平成10~12年度にかけて行われた厚生科学研究「新生児期の効果的な聴覚スクリーニング方法と療育体制に関する研究」で始まった.この研究を踏まえて,厚生省は平成12年10月に「新生児聴覚検査事業実施要項」を定め,聴覚障害の早期発見・早期療育をはかるため,新生児に対する聴覚検査を医療機関に委託してモデル事業を実施することとなった.
佐賀県では,1998年10年8月に当院小児科において自動聴性脳幹反応(以下,AABR)による新生児聴覚スクリーニング検査が始まった.2001年4月には佐賀県新生児聴覚スクリーニング研究会世話人会が発足し,同年9月に第1回の同研究会が開催された.2002年度から2004年度までの3年間,県による新生児聴覚スクリーニングモデル事業が実施された(表1).
その後,聴覚スクリーニング検査実施機関は徐々に増え,県内の80%以上の産科で実施されるようになった.佐賀県における新生児聴覚スクリーニングのシステムは図1のようになっており,当科は県内唯一の精密検査機関となっている.
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