リポート「現場,最前線」
遺伝性脊髄小脳変性症に対する言語聴覚療法―長期介入報告
磯野 千春
1
,
中村 雄作
1
,
阪本 光
1
,
平野 牧人
1
,
山田 郁子
1
1近畿大学医学部堺病院神経内科
pp.63-65
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001100276
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1.はじめに
遺伝性脊髄小脳変性症は,本邦では遺伝子解析により主にSCA1~27,DRPLAなどに分類される.このうちSCA3は,発端者の名前よりMachado-Joseph病(以下,MJD)として知られる常染色体優性遺伝性脊髄小脳変性症である.進行性の小脳失調に加えて痙性麻痺やジストニアなどの多系統変性を呈し,若年発症ほど重症で予後不良である.構音および嚥下障害は必発で,意思伝達の困難さや誤嚥性肺炎・窒息をきたすことがあり,社会生活・日常生活または生命予後に大きな影響を与える.そのため構音障害や嚥下障害への対策が重要であるが,MJDへの言語聴覚療法(以下,ST)に関する臨床研究報告は少ない.
今回われわれはMJD1症例に対する長期的なSTを行い,リハビリテーション(以下,リハ)介入の効果や意義を検討したので報告する.
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