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編集後記
藤田 郁代
pp.189
発行日 2005年12月15日
Published Date 2005/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001100056
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今,那須野が原の秋はたけなわで,紅葉が那須岳の麓にまで降りてきました.近年は暖冬続きで眼の覚めるような紅葉にはなかなかお目にかからなくなりましたが,それでも秋の夕陽に映える紅葉の美しさはひとしおです.2巻3号をお届けする頃には落葉も終わり,初冬の風が吹いていることと思います.
本号は第6回言語聴覚学会での講演についてLyndsey Nickels先生より寄稿いただき,その内容を掲載することができました.Lyndsey Nickels先生は国際的に活躍されている認知神経心理学者であると同時に言語病理学の専門家でもあります.特に,単語の情報処理に関しては多数の論文と著書があり,世界で最も注目されている研究者のひとりです.今回の題目は「Assessment and treatment of impaired word retrieval:A Cognitive Neuropsychological approach」であり,近年の単語の情報処理モデルの紹介と,それに基づき失語症の評価および訓練を組み立てる方法論が丁寧に解説されています.言語聴覚障害がある方々への訓練は,対象者ごとに障害構造を調べ,先行研究等が明らかにしたevidence(論拠)に基づき訓練プログラムを立案し,訓練過程においてその効果を確認していくことになります.仮説があってこそ訓練の効果を検証することは可能であり,本論文は語彙訓練の仮説を考える上での重要な示唆を多く含んでいます.
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