発刊に寄せて
「言語聴覚研究」が拓くもの
藤田 郁代
pp.6-8
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001100004
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ひとつの学問領域が成り立ち,進展するには,その専門領域および近接領域に関係する者が学術的に交流し,活発に科学的討論を行うことによって知見の客観性を高め,普遍化していく場をもつことが必要です.通常,そのような場は学会や学術専門誌が提供することになりますが,わが国の言語聴覚障害学領域に関しては,専門職による臨床活動が約45年前に始まったにもかかわらず,さまざまな経緯から,領域に属する大多数の者が参加する学会や学術専門誌は長い間存在しませんでした.このような状況は研究の蓄積や体系化にとって不利であるだけでなく,本領域の学問的アイデンティティーの形成を脅かしかねない可能性があることから,関係者は領域の柱となる学会や学術専門誌の誕生を強く願ってきました.
この願いは1997年の言語聴覚士法制定を機にようやく具体化の方向へと向かい,2000年に全国の言語聴覚士によって日本言語聴覚士協会が設立され,協会が主体となって本年には日本言語聴覚学会が発足し,ここに学術専門誌『言語聴覚研究』が誕生することとなりました.本誌は言語聴覚障害に関係する諸学会・諸団体の専門誌と並び,今後,本領域の学問の進展に大きく寄与していくものと思います.
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