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はじめに
地域リハビリテーション(以下,地域リハ)は,更生相談所による医師による巡回相談が先駆けと言われている。地域で生活している障害をもった方々への医師の訪問による医療相談から補装具の交付申請などが行われた。
1982年市町村が実施する老人保健法の機能訓練事業や訪問指導が地域の脳卒中後遺症者を中心に地域リハの考え方やその取り組みが盛んに推進された。
また,県保健所を中心に発達相談や療育相談などの障害のある子どもたちへの支援,難病者への公費負担から在宅療養の支援,精神障害者への相談から通所事業としてのデイケアなど,障害のある方々への早期発見から療養生活の支援まで地域における支援体制の構築を図ることを目的に,地域における医療と保健,福祉にわたるまさしく地域リハを推進する機関でもあった1)〜5)。
高齢者の領域では,2000年介護保険法の施行とともに地域リハの担い手は,行政から介護サービスの通所・訪問リハビリテーション事業所へと移行した。しかし,通所・訪問リハビリテーションも医学モデルの機能回復訓練からの脱却はできず,結局地域リハ活動からほど遠いものとなっている。
精神保健福祉医療領域(以下,精神障害領域)では,1995年精神保健福祉法において「医療及び保護」「社会復帰の促進」「国民の精神的健康の保持増進」「自立と社会参加の促進のための援助」として,手帳の制度の創設,社会復帰施設・事業の充実として退院後の生活の場としての通院患者リハビリテーション事業という名の職親制度を位置付けている。精神障害領域の取り組みでは,福祉として地域リハの取り組みの片鱗がみられた6)7)。
しかし,このように障害のある人々への地域リハの取り組みはあらゆる領域でその必要性から取り組まれてきたが,リハビリテーションという言葉の解釈の違いから,共通言語としての確立がされず,いまだ理解が得られていないように思える。
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