マイオピニオン
地域の医療の未来について思うこと
加藤 則人
1
Norito KATOH
1
1京都府立医科大学医療フロンティア展開学
pp.806-807
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207409
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少子高齢化,生産年齢人口減少,医師・看護師など医療従事者を含む人口偏在などによって生じるさまざまな社会課題が顕著に表在化するとされる,いわゆる2040年問題は,地域での医療へのアクセスの課題など,われわれ皮膚科医にとっても避けて通れない大きな問題である.
医師の偏在への対策として,数年前から医師数の多い地域での専門医研修プログラムへの採用専攻医数に上限(シーリング)を設ける制度が始まった.また2024年6月の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会では,2026年度開始の臨床研修から,医師多数県の研修医の一定割合が医師少数県等の臨床研修病院で2年の研修のうち半年間程度研修を行うプログラム(広域連携プログラム)が示された1).いずれも,研修医や専門医を目指す専攻医の研修先を制限することによる医師偏在への対策と思われる.しかし,2023年度の厚生労働科学研究事業「日本専門医機構における医師専門研修シーリングによる医師偏在対策の効果検証」の報告によると,「少数県の採用数の増加については,地域によってばらつきがあり,特に東北・東海・甲信越地方の医師少数県においては,シーリングによる医師配分効果が十分に発揮されているとは言えない」とのことであった2).
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