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はじめに
筆者がかかわっている聴覚に障害のある人では,日常生活や社会生活を営む上で基本となるコミュニケーション手段に着目して,手話言語を使用して社会生活を営む「ろう者」,音声言語を使用して社会生活を営む「難聴者」「中途失聴者」,触手話や音声等を使用して社会生活を営む「盲ろう者」と,各々の障害特性に応じた支援が必要です。
手話言語を使用する,ろう重複障害者を対象とした入所施設は,北海道(1953年),山口県(1954年),福井県(1981年),京都府(1982年),福岡県(1990年),大阪府(1994年),埼玉県(1996年),東京都(2002年)に設置されており,入所施設での生活からグループホーム等の地域生活に移行していくことが課題となっています。
また,人生の途上で聞こえが不自由になった中途失聴者・難聴者を対象とした支援は,自立訓練事業所註1)の他に,聴覚障害者情報提供施設註2)や当事者団体が,手話講習会,補聴器講習会などを行っています。また,身体障害者福祉法における聴覚障害の認定が,重度の聴覚障害に限定されているため,障害認定が得られない70dB未満の難聴者は,障害者総合支援法に基づく自立訓練,意思疎通支援,補聴器交付等の福祉サービスの利用ができないといった課題があります。
筆者は3年前から,京都府聴覚言語障害センター(以下,京都府センター)に設置された自立訓練事業所「こみ・さぽ・みなみかぜ」(定員8人)と共同で中途失聴者・難聴者の社会生活力プログラムの実践を進めてきました。
今回,「障害にある人のための社会生活力プログラム・マニュアル—自分らしく生きるために」(以下,マニュアル)1)を参考にした社会生活力プログラムにおける「コミュニケーション」の実践を紹介します。
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