特集 ケアリングコミュニティと地域リハビリテーション
当事者の語りから学び,共に地域で暮らし続ける—機能評価研究委員会が取り組む事例検討会
川邊 循
1
1社会福祉法人世田谷ボランティア協会「ケアセンターふらっと」
pp.288-292
発行日 2020年11月15日
Published Date 2020/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201230
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はじめに
一般社団法人日本脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会の「コミュニティにおける脳損傷者の回復プログラムと機能評価研究委員会」(以下,研究会)では,退院後も長期的に変化していく脳損傷者の生活の場は「地域」であるという視点に立ち,定期的に事例検討会を開催している。事例検討会では,医師,PT,OT,ST,臨床心理士,生活支援員,ケアマネジャー,相談員,教員などが参加して地域の中でどのような支援プログラムが脳損傷者の回復に向けて効果を生むのかを検討している。所属はリハビリテーション病院,クリニック,療育センター,介護保険事業所,障害者総合支援法サービス事業所,相談支援事業所,学校,社会福祉協議会などさまざまで,主な参加者の地域は東京,神奈川などの関東一都六県となっている。検討内容は,家庭も含めた地域での生活支援,就労支援,学齢期の相談支援など多岐にわたっており,さまざまな地域から多職種が参加するという特徴を生かした多角的な視点での検討を行っている。
研究会では,現在,当事者の障害状況や生活状況などの情報を参加者間で共有しやすく,地域での支援方法を具体的に検討することができ,当事者とその家族にもわかりやすく伝えることのできる事例検討シートの作成を行ってきた。本稿では,ICF(国際生活機能分類)1)を研究会が独自に改編した事例検討シートであるn-ICF(ICFを基に作成した事例検討シート:nearly-ICF)。以下,「n-ICF」2)について,その作成の考え方と障害当事者が参加した事例検討会について報告し,その意義について考察する。
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