連載 看護学生と若手設計者が考える 理想の病院・4
地域と交流のある
中津 大悟
1
1株式会社共同建築設計事務所 医療施設計画部
pp.246-247
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101924
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地域と交流のある病院とは
看護学生の皆さんのディスカッションから導かれた12のテーマのうち,私が選ばせてもらったのは「地域と交流のある病院」です.最初に,2つのサブテーマ「閉鎖的でない病院」「みんなで使える公園」を手掛かりに,今回のテーマについて考え始めました.「閉鎖的でない」という言葉の意味するところは,病院を包む物理的な壁と,精神的な壁があるのだと思いますが,今回の場合は特に後者のほうではないかと思います.病院スタッフと患者さんだけでなく,周辺の住民も含めた地域のみんなで交流を持ちたいという理想の中には,病院機能を追求する過程で,病院が周辺とは無関係に巨大化し,広大な敷地を求めて郊外の立地にぽつんと建ってしまうといった孤独さがあると解釈したからです.
そして,もう1つのサブテーマ「みんなで使える公園」はその孤独さを解消し,精神的なつながりを持つための,とても重要な空間になると感じました.今回は,病院機能を絞り,建築ボリュームを抑えた中で,病院スタッフ・患者さん・地域の人たちが相互に使えるツールとして公園を共有しつつ,病院を含めた地域との交流を促すきっかけづくりができるような提案をしたいと思います.
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