特集 健康寿命を延ばす予防活動
食育とソーシャルキャピタルを活用した健康づくり事業
崎間 敦
1
,
大屋 祐輔
2
1琉球大学グローバル教育支援機構保健管理部門
2琉球大学大学院医学研究科循環器・腎臓・神経内科学講座
pp.656-660
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200941
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
1995年に世界長寿地域宣言を行った沖縄は,2003年に発表された都道府県別生命表において,女性の平均寿命は1位を保っていた。しかし,男性の平均寿命順位がこれまでの4位から26位に大きく後退した。当時これは「26ショック」と呼ばれ,沖縄の健康長寿の状況が変化しつつあることを実感させる出来事であった。その後,健康長寿県の復活を試みるも平均寿命の伸び率の低下が続き,2010年にはこれまで首位にあった女性の平均寿命も3位に陥落,男性の順位は30位まで低下した。これは「330ショック」と呼ばれ,県民に大きな衝撃を与えた。その原因として,特に青・壮年期における循環器疾患の危険因子である生活習慣病の急増,肝疾患や高血圧性疾患の年齢調整死亡率が全国よりも高いことなどが挙げられている。沖縄の健康長寿を巡る状況の変化について,食習慣の変化や,運動量の減少,喫煙率の高さや健診受診率の低さ,社会経済的な格差の拡大,ソーシャルキャピタル(地域の絆)の希薄化など,さまざまな要因の検討と対策がなされている。2012年度から2017年度にかけて沖縄県内で行われた健康行動実践モデル実証本事業(琉球大学ゆい健康プロジェクト:以下,ゆい健康プロジェクト)(図1)は,食育とソーシャルキャピタルを活用した健康づくりを展開してきた。今回,ゆい健康プロジェクトの概要についてまとめる。
Copyright © 2018, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.